地元の味を未来へ紡ぐ—ベンケイ食品 宮部幸治さん

和歌山県かつらぎ町の豊かな自然に囲まれた場所に、1988年創業の柿の葉寿司専門店「ベンケイ食品」があります。地域に根ざし、長年にわたり愛されてきたこの店は、2024年1月に待望の直営店舗をオープンしました。今回は、店主である宮部幸治さんの仕事に対する姿勢や、商品づくりへのこだわり、そして商品開発の苦労についてご紹介します。

家族から受け継がれた伝統の味

ベンケイ食品の柿の葉寿司は、宮部さんの家族の味から始まっています。宮部さんの母親は、地域でも評判の柿の葉寿司作りの名人で、その味は家族全員の大好物でした。その味を守り続け、地域の方々にも楽しんでもらいたいという思いが、ベンケイ食品の原点です。

「母親が作る柿の葉寿司は、家族にとって特別なものでした。その味を皆さんにも届けたいという思いで、この店を続けています」と宮部さんは語ります。家族の温かさと、地元の風土が詰まった柿の葉寿司は、ベンケイ食品を訪れるお客様にとっても特別なものとなっています。

素材への徹底したこだわり

ベンケイ食品の柿の葉寿司には、岐阜県産の初霜米が使用されています。この米は、寒暖差が大きい地域で育つため、甘みと粘りが強く、柿の葉寿司の味を引き立てます。また、寿司ネタには厳選された素材を使用しており、特に「じゃこ寿司」は地元で大変人気があります。

「じゃこ寿司は、地元の年配の方々にとっては懐かしい味です。昔は、川で魚を釣って自宅で調理するのが当たり前だった時代がありました。その時の味を再現しています」と宮部さん。宮部さんの手で再現されたこの味は、地域の歴史と文化を感じさせる一品です。

新たな挑戦—直営店のオープンとデザインへのこだわり

2024年にオープンした直営店では、宮部さんはさらに新たな挑戦を行っています。伝統的な柿の葉寿司を基盤としながら、贈答品や進物用のスタイリッシュなパッケージを開発。地元の味を現代のニーズに応える形で提供することを目指しています。

「かつては、どの家庭でも柿の葉寿司を作っていましたが、今ではその文化が薄れつつあります。だからこそ、地元の方々に再び柿の葉寿司の魅力を再認識していただきたい。そして、県内外から訪れる観光客にもこの美味しさを知ってもらいたいんです」と宮部さんは話します。

新たにデザインされたパッケージは、伝統と現代が調和するデザインで、贈り物としても非常に喜ばれています。この新たな試みは、地元住民だけでなく観光客にも広く受け入れられることでしょう。

お客様の声が原動力

宮部さんがこの仕事を続ける中で、何よりも励みになるのはお客様からの声です。「美味しかった」「昔の味を思い出した」と言われるたびに、宮部さんは自分の仕事の意義を再確認し、さらなる努力を続けています。

特に「じゃこ寿司」に関しては、「昔、母が作ってくれた味にそっくりだ」と感動する声が多く寄せられています。こうしたお客様の声が、宮部さんにとって何よりの喜びであり、これからも頑張っていく原動力となっています。

地元と観光客、双方に愛される店へ

ベンケイ食品の直営店は、国道24号線沿いに位置し、高野山へのアクセスも良好です。観光客が立ち寄りやすい立地でありながら、地元の方々にも気軽に訪れてもらえる店を目指しています。

「かつらぎ町には、こんなに美味しい柿の葉寿司があるんだ、と思ってもらえるような店にしていきたい」と宮部さん。地元の伝統を守りつつ、観光客にも愛される店づくりを進めています。

結びに

ベンケイ食品の柿の葉寿司は、宮部さんの家族の味から始まり、地域の伝統を守りながら、現代のニーズにも応える形で進化してきました。地元の方々には懐かしさを、観光客には新しい発見を提供するこの店で、ぜひ一度、柿の葉寿司を味わってみてください。その一口が、地域の歴史と文化を感じさせ、心温まるひとときになることでしょう。

店舗情報

ベンケイ食品
住所     和歌山県伊都郡かつらぎ町大薮136−2
電話     0736-22-6283
営業時間   11:00~18:00 月曜・火曜定休日
ホームページ https://benkei-kakinoha.com/

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