和歌山県かつらぎ町に拠点を構える「山本製作所BASE 株式会社」。オーダーメイドの金属製品製作を手がけ、建築金物、家具インテリア、工場設備、トラック装飾パーツなど、多岐にわたる製品を提供しています。特に、ステンレスをはじめとする金属加工技術においては、ヒアリングから設計、製作、納品、取付まで一貫対応する“総合サービス業”の姿勢が、多くの企業や顧客から支持を集めています。
“ものづくり”に対する熱い思いを胸に
この企業を率いるのが、代表取締役の山本拓嗣氏です。建築士を目指していた彼は、模型製作などを通して“自らの手で作る”喜びを知り、父の背中を追いかけて金属加工の世界へと飛び込みました。父親からの事業承継を経て、2020年に法人化し、現在の「山本製作所BASE 株式会社」となりました。
山本氏の経営理念は「製造業の“3K”(きつい、汚い、危険)というイメージを変えたい」という強い思いに根ざしています。職人の仕事はクリエイティブであり、自由な発想で新しい価値を生み出せる尊い仕事だと語る彼は、日々お客様に“驚き”と“喜び”を届けることを目指しています。
オーダーメイドの技術力が支える多様な製品群と“駆け込み寺”としての信頼
山本製作所BASE 株式会社の強みは、2代にわたって培われた高度な金属加工技術です。特に、金属特有の熱による「歪み」などを見越して製作する高度な技術などを活かし、他社が対応できない修理や製作案件を引き受ける“駆け込み寺”としての役割も果たしています。
金属加工の分野では、修理や改修が難しい製品も多く、対応を断られるケースが少なくありません。そんな中で、山本製作所BASE 株式会社は、持ち込まれた案件を可能な限り引き受ける姿勢を貫いてきました。その裏には、即時対応を徹底するというポリシーがあります。問い合わせのメールには可能な限り迅速に返信し、現場での判断は即断即決を心がけています。こうした対応が、顧客からの信頼を獲得し、結果的にリピートオーダーにつながっています。
金属家具ブランド「metalab」の挑戦
2021年、山本氏は新たな挑戦に乗り出しました。それが、金属を主材としたオリジナル家具ブランド「metalab(メタラボ)」の立ち上げです。建築金物や工場設備の分野に留まらず、生活の中で金属の美しさを感じられる製品を届けたいという強い思いが背景にあります。
特に、ステンレスの特殊研磨を施した家具は、金属の質感と異素材の組み合わせが絶妙な調和を見せ、シンプルでありながらラグジュアリーな空間を演出します。このブランドにはこれまで培ってきた技術と対応力が存分に活かされています。
人材育成と新たな仲間の募集
これまで家族経営で運営してきた同社ですが、今後の事業拡大に向けて新たな仲間の募集を進めています。少人数のため、社長や社員同士の距離が近く、提案や意見交換がしやすい環境が整っており、社長と直接話し合いながら、自分のやりたいことに挑戦でき、アイデアが形になる喜びを味わえます。
未来へのビジョンと展望
これまでの取引先は和歌山県を中心とした大阪や奈良の企業が多かったものの、今後は家具事業を軸に、全国的な認知拡大を目指しています。そのため、ショールームの充実とオンラインストアの整備を進めています。金属製家具を少しでも多くのお客様の元へ届け、暮らしを豊かにすることを目指しています。
また、ショールームでのイベントやオンラインショップの活用の強化も図りながら、遠方の顧客にもブランドの魅力を発信し続ける方針です。さらに、クラフトツーリズム(産業観光)や新たな販路開拓を通して、山本製作所BASE 株式会社は、和歌山県のものづくりを牽引する存在へと進化しようとしています。
山本製作所BASE 株式会社の魅力と山本拓嗣氏の挑戦
「3K」や「儲からない」といった製造業のネガティブなイメージを覆す山本製作所BASE 株式会社と山本拓嗣氏の挑戦は、和歌山県から全国へと広がりを見せています。熟練の技術を活かしたオーダーメイドの製作はもちろん、新しい価値を提供する「metalab」ブランドやクラフトツーリズムの取り組みなど、常に“驚き”と“喜び”を届ける姿勢が貫かれています。製造業の新しい未来を創り上げる企業として、今後の展開が注目されることでしょう。